
【はじめての文字のアウトライン】Illustratorのデータ入稿で文字のアウトライン化をする方法と意味
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- :2019年06月10日
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【はじめに】もう困らない!「文字のアウトライン化」
社内の人から「イラレのデータに文字のアウトラインが取れてないよ!」とか、
印刷会社から「イラストレーターのデータにアウトライン化がされていないので、再入稿お願いいたします。」とか……
Illustratorを独学されている方にとって、このように言われた経験がある方は多いのではないでしょうか。
文字のアウトライン化がされていないと、せっかくデザインしたつもりだったフォントが、別のフォントに置き換えられてしまう可能性があります。
今回はお急ぎの方向けに、文字のアウトライン化の意味より先に、やり方を解説します。
なぜアウトライン化が必要か、その理由も書いていますので、ご必要な箇所からお読みいただければと思います。
じっくり学ぶと、難しいものではないはずです!
この記事で、最初の課題「文字のアウトライン化」に悩まない方が増えますように!
【ご注意】
Illustrator CC向けに記載しています。
それ以前のバージョンの方は、操作方法が異なる可能性があります。
【方法】文字のアウトライン化のやり方(全ての文字をアウトライン化したい場合)
0.テキスト入力モードを終了する
文字のタイピングが終わったばかりの場合は、下記のいずれかの方法で、テキストをタイピングできる状態を解除します。
※テキスト入力モードを終了していないと、文字のアウトライン化ができません。
A. [Esc]キーを押す
B. [Ctrl]+[Enter]を押す / Macの場合: ⌘+Enter
C. 左側のツールバー*1 から、[選択ツール]*2 を選ぶ。
*1 ツールバーは初期設定では左側にあります。
*2 黒い矢印が[選択ツール]です。
※白い矢印は[ダイレクト選択ツール]と言い、ここでは使用しません。
1.アウトライン化したい文字を含むすべてのオブジェクトを選択
メニューバー>選択>すべてを選択
すべて選択されました!!
※文字以外も選択されますが、文字のアウトライン化は、文字だけアウトライン化され、他には影響を与えませんので、ご安心ください!
※同様の操作が、Ctrl+A (Macの場合: ⌘+A)でも可能です。
※こういった短縮キーは、「ショートカットキー」と呼ばれます。
2.アウトライン化を行う
メニューバー>書式>アウトラインを作成
※メニューバーとは、上部の「ファイル 編集 オブジェクト 書式……」と続いている箇所のことです。
- ワンポイント
-
文字のアウトラインをした後では、文字の編集(タイピングなど)ができません!
文字のアウトライン後は「別名で保存」をすることを推奨する場合が多いのは、このためなんですね!
※本当に全ての文字がアウトラインがされているのか……気になる方は、確認の方法もあります。
【方法】文字のアウトライン化のやり方(一部の文字をアウトライン化したい場合)
1.[選択ツール] を選ぶ
黒い矢印が[選択ツール]です。こちらをクリックします。
※白い矢印は[ダイレクト選択ツール]と言い、ここでは使用しません。
2.アウトライン化したい文字を選択
ダイレクト選択ツール(黒い矢印)で、アウトライン化したい文字をクリック
3.アウトライン化を行う
メニューバー>書式>アウトラインを作成
※メニューバーとは、上部の「ファイル 編集 オブジェクト 書式……」と続いている箇所です。
- ワンポイント
-
文字のアウトラインをした後では、文字の編集(タイピングなど)ができません!
文字のアウトライン後は「別名で保存」をすることを推奨する場合が多いのは、このためなんですね!
【方法】大至急!全てショートカットで文字のアウトライン化をする方法
『取り急ぎショートカットキーだけを知りたい!』
そんな方向けに、文字のアウトライン化のショートカットキーを掲載します。
▼ Windows の場合
手順 | 操作内容 | ショートカットキー |
---|---|---|
STEP 1 | 全選択 | Ctrl+A |
STEP 2 | 文字のアウトライン化 | Ctrl+Shift+O |
※アウトライン化したい文字を選択した状態で行います。
※CtrlキーとShiftキーをどちらも押している状態で、アルファベットの「O」(オー)を最後に押します。
※「O」は「Outline」(アウトライン)の頭文字なので、覚えやすいですね!
▼ Mac の場合
手順 | 操作内容 | ショートカットキー |
---|---|---|
STEP 1 | 全選択 | ⌘+A |
STEP 2 | 文字のアウトライン化 | ⌘+Shift+O |
※アウトライン化したい文字を選択した状態で行います。
※⌘キーとShiftキーをどちらも押している状態で、「O」(アルファベットのオー)を最後に押します。
※「O」は「Outline」(アウトライン)の頭文字なので、覚えやすいですね!
ショートカットの魅力
ショートカットキーでの操作は、最初は、どれどれ……という感じですが、何回もやっていると、(どのキーか忘れていても、)頭より先に手が動くようになっていきます。
そして、ショートカットキーで操作をすると、とにかく“速い”のです。
ですので、Illustratorに慣れてくると、多くの方が、色々な操作をショートカットキーで行うことになります。
ぜひ、Illustrator初心者の方でも、余裕があればこれらのショートカットキーでの操作にも挑戦してみてください!
【意味】イラストレーターの「文字のアウトライン化」の意味とは
文字のアウトライン化とは、テキストデータ(“文字”情報)を、ベクターデータ(数式で出来た“図形”)に変えることです。
アウト(外側の)ライン(線)なので、“文字情報”の輪郭を取って、“図形”に変えてしまうことが、文字のアウトライン化です。クッキーの抜き型のようですね!!
【理由】なぜ文字をアウトライン化をするのか?
テキストデータの状態では、テキストを打ち替えたり、フォントを変えることができます。
しかし、文字が打ち替えられなくなる「文字のアウトライン化」を、なぜ、わざわざ行うのでしょうか?
文字のアウトライン化をしていないと、こんな問題が起きる!?
当然ですが、フォントはパソコンの中に入っています。
Aさんのパソコンには入っているフォントが、Bさんのパソコンには入っていないとします。
AさんがBさんの持っていないフォントを使って、BさんにIllustratorのデータを送ると……
Bさんのパソコンでは、何か別のフォントに置き換えられてしまうのです。
もちろん、Aさんはデザインのつもりなので、こだわってフォントを選んでいました。
ところが、Bさんが見たフォントは置き換えられた、全く別のフォントなのです。
その様はまるで、伝言ゲームで内容が変わっていくようです。
文字のアウトライン化をしていない場合、送信したパソコン(ソフトウェアの問題なので実際はIllustrator)は、「“ABC”とここに表示して」と伝えます。
しかし、受け取ったパソコンは、「“ABC”と表記されていれば、どんなABCの形でもいい」と読み取ってしまいます。
どんな形のABCでも良い訳ではないのに……
文字もデザインの一部!だからこそ、アウトライン化を!
これを解決するために、「文字」を「図形」に変えておくのです。
文字情報を、図形に変えることで、他のパソコンに送付した場合に、フォントが変わってしまうことを防ぎます。
もっとも、同じフォントを受け取った人が持っていると良いのですが、フォントは世界に何千種類、何万種類と存在し、今もなお増え続けているので、フォントをすべて揃えることは実質的には難しいでしょう。
文字のアウトライン化の前後で出来ること、出来ないこと。
一度、整理してみましょう。
文字のアウトライン化を行う前後で比較すると、次のようになります。
▼文字のアウトライン前 | ▼文字のアウトライン後 | |
---|---|---|
性質: | 文字 | 図形 |
文字の編集(タイピング): | 出来る | 出来ない |
データ送付先で開いた場合: | フォントが変更されるかも | フォントは変更されない |
※ややこしくなるのを避けるために、シンプルに記載していますが、全て、“基本的には”こういうこととなります。
アウトライン後にも文字を変える方法はなくはないですし、アウトライン前のフォントでもフォントが変更されない場合もありますが、ここでは、分かりやすくするために、それらは一旦例外とします。
【確認方法】文字にアウトラインが出来ているかを確認する方法
「文字のアウトライン化」を知ったばかりでは、本当にこれでアウトライン化が出来ているのかどうか、気になりますよね……。
でも大丈夫です!!
Illustratorにはちゃんと、文字がアウトライン化されているかどうかを知る手段があります。確認方法は何通りもありますが、今回は、比較的簡単に調べられる2パターンの方法を解説します。
Aパターン: [すべてのテキストオブジェクト] を選択する方法
メニューバー>選択>オブジェクト>すべてのテキストオブジェクト
選択されたものがあると、それは文字のアウトライン化がされていないということになります。
※アウトライン化されていない文字だけが選択されている状態なので、このままアウトライン化ができます!
Bパターン: [フォント検索] で確認する方法
1.メニューバー>書式>フォント検索
2.ドキュメントフォント:(0) かどうかを確認します。
ドキュメントフォントに何も表示されていなければ、データ内の全ての文字がアウトライン化されています!
※「ドキュメントフォント」の一覧の下にも、フォントが表示されることがありますが、こちらは「最近使用したフォント」ですので、アウトラインが出来ているかどうかとは、関係ありません。ご安心ください!
因みに、1箇所でも、アウトラインのされていない文字があった場合、次の例のように表示されます。
【ご注意】文字のアウトライン前のデータは保存しましたか?
文字のアウトライン後は、データを別名で保存しましょう!
再編集や文字を直したい時に、文字のアウトライン後のデータでは、文字の編集(タイピング)はできません。
入稿する際には、“文字にアウトラインがかかっていること”が、とにかく大事なのですが、実際のデザイン制作の業務では、文字を再編集しないといけない機会が沢山あるかと思われます。
ですので、アウトライン後にデータを上書き保存しまっては、後々になって、文字部分の再編集を依頼されて困ってしまうかもしれません……。
何のフォントだったか確認していく作業が必要になってしまうのです。(これが手間のかかる作業になります!)
アウトライン後のデータは別名で保存し、保管しましょう!
日本のデザイナーの方で、ファイル名の最後に「_OL」(outlineの略)とつける方が多いのはこのためですね!
文字のアウトライン化の前後でのファイル名の例
あくまでも一例(備考も含めて)ですが、文字のアウトライン化前後でのファイル名をご紹介します。
出来れば、データの引継ぎや受渡しがあっても分かりやすいファイル名が良いですね!
▼文字のアウトライン化前のファイル名
株式会社ABC_LOGOマーク.ai
▼文字のアウトライン後のファイル名
株式会社ABC_LOGOマーク_OL.ai
【備考】
※再編集の際にはアウトライン前のデータを編集します。
その編集が終わったら、再度、アウトライン前のデータとして保存し、アウトライン後のデータを別名で保存します。常に2種類で保管します。
※上記2種類とも保存して手元に保管し、文字のアウトライン後のデータを、印刷会社への入稿用として使用します。
※印刷会社によって、入稿時に必要となるファイルは異なります。
入稿先の印刷会社の入稿ガイド等で確認してみましょう!
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