PANTONEは色見本帳の一種です。
本になっており、実際に印刷された色と、それに対して色の番号、色の名称が書かれています。
個々のカラーチップと呼ばれてるミシン目加工が入っているので、切り取って受け渡しできます。
例えば、印刷色を指定する時に「赤です。」ではなく、「PANTONE 185 Cです。」と伝えた上で、「PANTONE 185 C」のカラーチップを受け渡します。
すると、印刷工場がそのカラーチップに合わせたインクを調色し、印刷します。
「赤」と指定するより遥かに正確な指定が可能です!
※必ず、印刷会社と印刷工場、該当する商品がPANTONE指定に対応している必要があるので、ご注文前の確認(問い合わせ)がおすすめです。
使ってみると非常に便利な「PANTONE」のカラーブック。
なぜこのようなものが作られたのか……
答えはかなりシンプルのようで、デザイン担当者が、印刷担当者に対して、色の指示を曖昧にしないためだそうです。
例えば「弊社のコーポレートカラーは赤です。」と伝えても、どんな「赤」なのか、人によって想像する色は全く異なります。
ということは、デザイナーが「印刷色は赤です」と伝えて、印刷会社が印刷した「赤」が、デザイナーのイメージと違ってしまう……なんて事が起きてしまいます。
印刷物は刷ってしまえば、もう元に戻せません。
さらに、大量に印刷してしまった後では、「その赤じゃありません。もっとピンクっぽくて……」のようなやり取りをしても、収集がつきません。
そういった理由から、デザイナーが「赤」とだけ伝えた場合には、どんな色で仕上がるのか……印刷後の状態を予知する事は、ほぼ不可能なことなのです……。
そこで、PANTONEのカラーチップの登場です!
インクの色をカラーチップを見ながら、印刷工場が同じ色を調色して、色合わせをするのです。
このパントン・マッチング・システムは、1963年に誕生したそうです。
半世紀以上の歴史があり、今もなお、新色が出たり、特集を組んだ限定版が発売されたりなどの進化を続けています。
PANTONEには、印刷物・グラフィック向けや、ファッション・インテリア向け、プラスティック・プロダクト向けなど、様々なガイドが用意されています。
その内、PANTONEの「フォーミュラガイド ソリッドチップス」の中には、「Coated(コーテッド)」と「Uncoated(アンコーテッド)」という2種類のガイドブックがあります。
2種類あるからには、使い分け方があります。
どちらも確認できるのに、全て「PANTONE Coated」だけで色を選定するのはもったいないのです!
▼実際に存在する色を並べて、「C」と「U」の違いを見てみましょう!
PANTONE 186 C
PANTONE 186 U
(同じ番号でも色差がありますね!この色差については、後々説明します。)
※モニターや写真で見る色合いは、実際のカラーチップと異なります。
必ず、WEB上ではなく、PANTONE公式のカラーブックよりご確認ください。
「フォーミュラガイド ソリッドチップス」には、PANTONE CoatedとPANTONE Uncoatedの2種類がありますが、弊社RERECA(レレカ)の紙袋の場合*1、2019年4月現在のところ下記の使い分けをしています*2。
PANTONE Coated | PANTONE Uncoated | |
---|---|---|
コート紙 マットコート紙 カード紙など | ◯ | |
晒クラフト紙(白色) 茶色クラフト紙 | ◯ |
*1 PANTONEのご利用可否は、入稿先や商品などによって若干異なります。
*2 PANTONEには「フォーミュラガイド ソリッドチップス」のカラーブックにも、多数のカラーブックが存在しますが、弊社では「フォーミュラガイド ソリッドチップス」よりお選びいただいております。
また、一部商品ではご利用いただけない場合もあります。
さて、先程のPANTONE 186 CとPANTONE 186 Uを見比べてみます。
同じ番号を並べてみても……
同じ「186」という番号なのに、こんなにも色が違いました。
紙には、インクを吸収しやすい紙もあれば、インクが乗りにくい紙もあります。
そのため、同じインクを使用しても、用紙が異なれば、色の見え方が異なります。
▼色番号によっては、色差が少ないものもありますが……
▼色番号によっては、もっと差のある(ように見える)色もあります。
▼濃い色の方が差が大きいように見えなくもないですが、これはインクによって違うので、一概には言えません。
先程の例より、もっと色が変わる場合を、もう1パターン例を挙げて確認をしてみましょう。
PANTONE 2766 C
PANTONE 2766 U
このような色では、同じ番号にも関わらず、色合いは大きく違っています。
そこで、よく起きる問題があります。
例えば、弊社(RERECA / レレカ)の場合は、白色の晒クラフト紙にPANTONEで印刷する場合、“Uncoated”でご入稿いただいています。
コーポレートカラーで「PANTONE 2766 C」とだけ指定されている場合、デザイン担当の方としては、Uncoatedより選ばないといけないのですが、「2766」という番号に従うか、似たような色を選び直すべきか……悩む……!
こういった話は、よくあるのです。
一旦、状況をまとめてみます。
A.純粋にレギュレーション通りのPANTONEの色番号に従って、「PANTONE 2766 C」を「PANTONE 2766 U」とする。
B.「PANTONE 2766 C」のカラーチップの近似色を「PANTONE Uncoated」のカラーチップの中から目視で決めて、置き換える。
今回は急いで説明してしまっているので、早速、正解の考え方ですが……
デザイン担当者や会社によって考え方には差があるようです。
PANTONE 2776 Cがコーポレートカラーということで、PANTONE 2776 Uをそのまま選択される方も大変多いですし、クライアントやエンド様、自分の上司などに確認を取った上で、近似色から再選定される方もいます。
どちらを選ぶ方もいるようです。
次に、それぞれの選択をした方のPANTONE CoatedからPANTONE Uncoatedの違いに対する考え方と、変換方法を確認してみましょう。
さて、先程のPANTONE 2766 Cは、濃いネイビー系の色ですが、特にこの手の色は、Uncoatedにすると薄まってしまう傾向があるようです。
しかし、今回はなんとか、この色をUncoatedの近似色から選んでみましょう!
Uncoatedで濃いネイビーというのがそもそも難しいのですが、Uncoatedの中から“PANTONE 2766 C”のように出来るだけ濃いネイビーを選ぼうとすると、候補としては下記のような色になるとします。
PANTONE 281 U
PANTONE 282 U
PANTONE 2767 U
その中でも、今回はPANTONE 2766 Cに風合いも近い色に絞り込み、「PANTONE 2767 U」を選定してみました。
比較的ましになったとは言え、若干薄くなっていますね!
※色選定の一例であり、デザイン担当者により見解は大きく異なります。
※そもそも、色の番号を優先すべきとクライアントや上司の方が判断される場合もあると思いますので、最終的には指揮命令系統に従うべきですね!
この場合は単純に、
PANTONE 100 Cなら、PANTONE 100 U
PANTONE 101 Cなら、PANTONE 101 U
といった具合に、番号を変えず、Uncoatedの色に置き換えます。